1月11日(土)Watanabe's 代表の渡邊健太さん、加藤慎也さん、妹尾めぐみさん、野地健太さんにお越しいただき、Watanabe'sから発売された「蒅藍建てキット」についてお話を伺いました。
蒅藍建てキットは、蓼藍を原料とする天然染料「蒅」(すくも=阿波藍)を使った「藍建て」(染料液を作ること)を自宅で体験できるようにしたものです。
今回のイベントに先立ち、先ずは僕自身が大晦日から「ミニキット」にて染料の仕込みを始め、10日余り"藍建て"にチャレンジしてきました。一応、大学では「藍染研究員」という肩書きでございまして、これからキットの販売もしなきゃいけないですから「これは絶対に失敗できないぞ」という気持ちで臨んでおりましたが、冬場は温度を安定させるのが難しく、、思うように色が出ず心配しました。藍甕の代わりとなる琺瑯の器を2重の段ボールに入れ、プチプチを重ね、湯たんぽ2つとカイロを投入し温度を安定的に保つことに努めました。すると1月7日に染料表面に青紫色の皮膜が見えて、ようやく安堵することができました。
渡邊さんはじめスタッフの皆さんには大変良い学びの機会をいただきました。本当にありがとうございました。
自分がまだ感動できるんだと嬉しくなったし、まだいけると次に進める気持ちになりました。
実感としてはミニキットの場合は容量が少ないため、染料液が考えていた以上に外気温の影響を受けるので冬場は温度を保つ工夫が必要です。ただ、足元用のホットカーペットや電気毛布があれば、湯たんぽやカイロを入れ替える手間がなく管理しやすいと思います。おそらく夏場ならほぼ気を使う必要なないのではないかと・・・それくらい分量として最適化されている印象を受けましたので、ユーチューブ通りにやれれば必ず誰でもできます。
ただ、イベント前日にもう少し色が出るかと思っていたらもうひとつだったので、少し気にはなっていたのですが、当日にPH値を測ってもらうとかなり下がっていました。夏なら一気に腐敗していたと思います。(冬だから腐敗が進まなかった)PH値が高いのか低いのかは、普通の人の感覚ではよくわかりません。大学では染料に触れる機会はもちろんありますが、場所や環境が変わると難しいです。(すごく高いと手が痛いのでなんとなくわかるけど)この世界では「中石を入れるタイミングが難しい」とよく言われます。(石灰や貝灰のアルカリを追加するタイミング)僕の場合は、年末年始でPHメーターを揃えることができなかったのですが、データを残しておけば、次回の傾向と対策ができるので計測しておく方がおすすめです。
ミニキットの場合は、小さなものしか染められませんが「色が出る過程を体感する」ことに意味があります。
夏休みの課題にお子さんと一緒に取り組んでみるのはいかがでしょうか?
蒅や灰汁を使う理由とは何か、技術やレシピをオープンシェアする意味とは?
そして色が出ることを"待つ"喜び。これから考えたい課題やキーワードが沢山見つけられた時間でもありました。
このWatanabe'sの取り組みは、失われた色を見る力や感性を取り戻し、土地らしい文化を次世代へ繋ぐチャレンジだと思います。ご興味を持っていただけると幸いです。
蒅藍建てキットのお求めはこちら。遠近でもご注文を賜ります。
不明なことがあればなんでも相談してくださいね。
渡邊さんこと、けんちゃんとのお付き合いも10年以上で長くなったけど、本当に頼もしい人だなあと思います。
みなさんご参加ありがとうございました。またやりましょう!
以下はHPより
「蒅藍建てキット」は、日本の藍染め職人たちが古くから受け継いできた、染色液を発酵させてつくる藍建ての手法「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」を、子どもから大人まで誰でも自宅で体験できるようにしたものです。
多くの方に藍(すくも)の発酵染色を楽しんでいただけるよう、「蒅藍建てキット」は5年の歳月をかけ、130回もの試作と改良を重ねて完成しました。
染色だけでなく、発酵の様子を観察することで、日本の藍染め文化の奥深さを存分に感じていただけたら幸いです。
※4サイズを展開
・ミニキット 1.2L/1.5L
・小キット 15L/20L
・中キット 30L/45L
・大キット 60L/75L
今回染めたコースターはお店で使ってますので、見たい方は店頭でお声掛け下さい。大変良好です!
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