父が育てている葡萄を毎年楽しみにしている。
生花の作業場に隣接したビニールハウスで丁寧に育てているのでとても美味しい。
僕が子どものころには葡萄畑があって出荷もしていたから、生花に切り替えてからも想いを残しているのだろう。
厳しい戦後を生き抜いてきた父は、甘いものに対する渇望も強かっただろうし、とにかく美味しいものをよく知っている人だと思う。山へ入って筍を掘ったり、蕨や松茸、ウドをとったり、鮎喰川で魚釣って蟹とって。楽しかった。僕が「地元に対する愛情や愛着」を自信を持って文字や言葉にすることができるのは、そんな父のおかげだと思っている。(そういえば今年は琵琶も特に出来がよく美味しかった)
先日、母が僕に葡萄を手渡しながら「最後になるかもしれないから心して食べてよ」と言った。
一粒を大事に口に入れる。 この土地の未来に気づき、いい仕事をしなければと思う。
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