お店で藍染のコースターを使い、お客様にドリンクを提供している。
これは手織布を阿波藍灰汁建てで染色したもので、どのマグカップとも合うし、コーヒーの色とも相性がいいと思う。ただ、ごくふつうの小さなもので、それが徳島の藍で染めたものだとは、お伝えしない限りは判らないだろう。
それでも阿波藍を使ってもらう体験を日々提供していくことで「なんかいいな」と感じてもらえたら嬉しい。
藍だ阿波藍だと広報するのは大いに結構だけれど、街の中でどこにあるのか見つけられないし、実態とは乖離していると変わらず感じている。大きな予算を投下して数日だけのイベントを開催するのもいいけれど、普段は藍について何もしていない人がやろうとするから「違う」と感じてしまうのだろう。
とはいえ僕には小さなことしかできない。だからこそ日々続けることが大事だと考えている。
そして「お店を営業することと、伝えること」このベクトルが重なっていることが重要だ。
小さすぎて効果は見えないし、誰かが評価してくれることでもない、阿波藍のコースターは、そんな自分の活動を象徴しているようだ。
「生きること」が結果として「伝える」に繋がれば嘘がない、それは山の稜線のように美しいはず。
伝えるとは、日々、小さな矢をある方向へと放ち続けることだ。
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